何やら岡山県美作市という所でパネルの面積に応じて発電事業者に課税する事業用発電パネル税(仮称)なるものの導入が進められているそうで、反対の声を多く見かけます。
反対の意見だけを見ていれば確かに良策とは思えません。
ただ、新税の導入を進めるには背景があるはず。
反対意見だけを見ただけでは愚策なのかの判断もできないので、第二種電気工事士試験を翌日に控えた大事な時期にちょっと調べてみましたよ!(やる気スイッチが入らない。)
ニュースとか見た感じでは「環境対策」が主目的な印象を受けましたが、実際は違うのですかね?
会議録がある
ちょっと調べてみたところ、ネット上に会議録等がいくつかありました。
- 平成31年2月28日 (仮称)事業用発電パネル税の導入について(諮問)
- 平成31年3月19日 美作市総合戦略推進会議 1回目
- 平成31年4月10日 美作市総合戦略推進会議 2回目
- 平成31年4月22日 (仮称)事業用発電パネル税の導入について(具申)
読むべき所は会議の議事録ですかね。
福祉?
1回め議事録から気になる点を抜粋
※全ての引用文はスキャンしたPDFからOCRで読み取った文章を使用しているので、一部オリジナルと違う部分があるかもしれません。
今度の太陽光パネルについて、場合によっては、そのときは税とは言いませんでしたけど、なにがしかの方法で、福祉の維持向上に資することができるかどうかを、検討していきたい
市長のあいさつより引用
福祉の定義がよくわかりませんが、環境維持も含まれるのかな。
全体を通して読めばそれほどでもありませんが、冒頭に福祉と書かれているのは非常に気になりますね。
自治体としてはどちらかと言えばずっと苦労をしている。ただ言われているとおり固定資産税が入るからいいじゃないかという議論はなくはございませんけども、固定資産税につきましては、原価償却資産についての固定資産税額でございますので、償却期間が過ぎてしまいますともう何も入ってこないという風に等しいわけでございまして、段々減っていく。
山林の数百倍~くらいの土地に対する固定資産税の課税は続くと思うのですが。
加えて地方交付税の仕組みの中で、固定資産税が増えた分の3/4は交付税が減るという仕組みもあるものですから、必ずしも固定資産税というものが、住民のためにいいんだということを言い切れることではない
固定資産税が増えても交付税が減るので、実質固定資産税の4分の1しか歳入は増えないという事ですかね。
これは知らなかった。
ただ、歳入が増えるのは事実。
住民にとって悪いことがあるのでしょうか。
固定資産税はTOP3に入るくらい大きな市税かと思いますが・・・
それに応えるとおり住民福祉の向上を図る観点から法定外の目的税を太陽光パネルの面積等において賦課させていただく
やはり福祉というのがちょっと気になります。
合併をした自治体は交付税の措置が他のところより強いのですけども、それが段々減少する中で、もう1,2年で減少が終わるのですが、財政的に必ずしも楽ではない合併自治体の将来に対して、一定の効果を及ぼすことによって、住民の方々の福祉の維持向上にも役立つ
将来太陽光が原因で市から想定外の支出が出ない=福祉の維持 と取れなくもありませんが、市税を増やすことが目的にも思えてきます。
↓ 「途中からの課税は難しいのでは?」という質問に対して市長より
一方で一番難しいのは、さきほど納税額の10%以上を払う人を議会でその人の意見を聞いた方がいいですよ、その人の意見も付して出してくれというふうなことがありました。
従いまして作東メガソーラーを作っている会社がありますけども、その会社がひっくり返って嫌だと大騒ぎしちゃいますと、われわれとしても大変なことになるというところがあります。
これはこれからやってみないとわからない。
逆にいうとその会社が、まあしょうがない、美作市にもお世話になっているからと思えば大概のことはいいと。
あくまで法定外目的税を導入する為の話かと思いますが・・・
納税額の10%以上を払う業者さえ抑えてしまえば他の業者の意見は問題にはならないようです。
恐らく該当するのは税金の8割を負担すると言われる大手一社のみ。
↓20年後の撤去に関する質問に対して市長より
国の政策が、撤去義務を課しているのですね、設置者に。
一方で個(質問者)がおっしゃるように、業者の方々の質も色々あります。
なかにはとんでもないことも発生する可能性があるとは覚悟しないといけない。
そこで先ほど税務課長が申し上げたように場合によっては、将来に備えて基金を積んでおく、その辺が(質問者)の要望に対することになると思います。
何があるかわからないので、備えをしたくなる気持ちもわかります。
↓別の質問に対する回答の中で市長が発した言葉
売電価格が措置法の中で18円とか大分下がってきていまして、それに少しでありますけどうちの方は、他の地域より先行して税が乗りますと。
微妙ですけど、立地抑制に繋がっていくと、当市としたら、「もうこれ以上設置してもらわなくていい」といった判断もあったので。
大規模のやつは、別途ある影響評価条例でチェックをかける。
それ以外のものについては、値段が下がることによって「もういいだろう」といったことなるのもいいかなと思っております。
市の判断としては太陽光には否定的なようです。
↓参加者(内容からして県の人?)より
自治体が創意工夫を凝らして独自の財源確保を取り組んでいくというは、これは絶対必要ではないかと考えております。
それがたまたま美作市の場合は、国の推奨による太陽光再生可能エネルギー、晴れの国岡山ということでどんどん太陽光パネルの設置が進んでおりましたけど、それを法定外目的税の一つの要素としてやれるというのは、今後どのような形の中で、市の方が財源確保の一つの要素としてやっていくということを決められたということはすばらしいことだと思っております。
確かに自治体が財源確保に取り組むのは必要な事かと思いますが、財源確保の為にパネルに課税ですか。
しかも市民からの反感は少なそうな10kw超の野立てのみで。
本当に市民の生活の向上、防災を含めて、いろんな面でこの美作市の財源確保、いろんな面で、角度で考えていかないといけない時期にきておりますので、ぜひ、これをやっていただきたい。
是非やってほしいそうです。
途中「岡山県としても相談を受ける」的な発言がありますが、この方県の方ですかね。
これをすることで、例えば先ほど(別の質問者)にも言われましたようにある程度の抑制にもなるとは思います。
ここに設置すれば納税しないといけないからと。
そういったことも考えて、乱開発の件も含めて、設置することを、単価は安くなっていますが、まだ狙われているところがある。
ですからそういったところのブレーキ役にもなるのではないかと考えております。
悪いイメージを持たれている点については事業者側も努力が必要ですね。
↓ 市長より
課税をして収入があがった場合、難しい話なのですが、基準財政需要額が入らないのですよ。
だから交付税が減らないのです。
これはかなり大きな効果があるので、私どもとして、相当なことができますし、毎年ですよ。
1億円積んでおいて、ずっと市民の方々のために使えれば、例えば、タクシー補助なんかもこれを使ってやることができる。
人口減少対策にも活かしていきたいなと思っております。
難しい話と言っていますが、「あまりおおっぴらに言えない話」 の間違いでは無いでしょうか。
↓ 納税者への周知に関する質問に対して市長より
大きいところが片付けば大体いいのですが、一方で最近、新しく小規模で10KW以上のものを借金して導入された市民の方々は、計算が合わなくなってきて、赤字になるといったことがあったときにどうするか、そういうところを考えていかないといけないかもしれません。
若干、納税猶予をするとか、3年間猶予するとか、そういったことを別途考えないといけないかも。
はっきり言う市長さんですね・・・
↓ 参加者より
たしかに非常に後々のことが不安になる施設でございますので、市長がおっしゃったように、例えば原子力発電であれば、地元の市町村にしっかり色々な財源が降りてきます。
まさにソーラー発電の場合、固定資産税のみです。
固定資産税が出るのは当たり前の話しですから、そういう意味で言えば目的税として環境とか今後のことに備える、そういったための目的税を設置されるということは、賢明なご判断かなと思います。
固定資産税以外にもメリットあると言いたい所ですが、数値化できないので難しいですかね。
本当に環境問題に備えるという話ならまだマシなのですが・・・
市の財源確保に使われる太陽光
あくまで個人的な感想ですが、美作市のパネル税は環境対策が目的では無く、市の財源確保の印象が強いです。
- 歳入増やさないと
- 太陽光で固定資産税増えてるけど、償却資産税が多いからいずれ減っていく
- 太陽光は儲かってるから理由つけて税金取ろう
- 環境対策を理由にすれば聞こえが良いね
- 意見聴取が必要な業者は1社くらいだし、ここさえ纏めれば後は楽勝でしょ。
- 毎年1億くらい税収見込める!!
こんな印象をもちました。
第二回の議事録にもツッコミたい所が多々ありますが、試験勉強があるので以上。
税金ではなく、発電事業者に地域経済の活性化への協力を申し出た方が良い結果となると思いますがね。
大手一社の同意は無理にでも取るのでしょうが、その他発電事業者の理解はまず得られないと思います。
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